『調査報告書』




文書名
レイ・ザ・バレル、ルナマリア・ホーク両名における口論について

作成者
シン・アスカ

経緯
ルナマリア・ホークの軍服について隊長であるレイ・ザ・バレルが注意を促したことが発端となり口論となる
尚、口論の具体的な会話内容は非常に稚拙且つ低俗かつ乱雑であるため記述を控えさせていただくこととする

発生時刻
午後５時４５分

場所
ミネルバ艦内（休憩室）





目撃者アスラン・ザラによる証言

休憩室での口論？
あぁ、あの二人か
見ていたがそれが何なんだ？
それについて俺の意見を聞きたいだと？
…シン、お前も暇だな…
まあいいだろう
そうだな、あれは俺からしてみれば口論というよりも痴話喧嘩というほうが適切な気がするな
服装、とかくスカート丈についての指摘など軍内でそうはしないだろう
少なくとも俺自身はしたことなどないし、過去そういった状況を見たこともない
それに彼女の服装は俺から見れば規律内のものであると思うしな
ならば彼のその指摘は公的な立場からの発言ではなく私的な立場からの発言であると考えるのが妥当だ
何だか少し分析的な口調になってしまったな
まあ、要するに私的な立場からスカート丈を注意するなどそれこそ好きな相手にしかしないものだろう？
そういった部分から見て、痴話喧嘩だと思うと言ったわけだ
好きな相手なら普通なら許せることでも気になって仕方がないということは幾らでもあるしな




意見提供者�@　ヨウラン・ケント　

あー、ルナマリアのスカートね
うん、確かに短いとは思うけど、彼女のことだから動きやすさとかの機能性を追求してのことだろ？
え、それにレイが文句言ったのか？
大体でいうとどんなこと言ったんだ？
ふむ、露出度が高いのは軍人という立場上あまりよくないっていうのがレイの意見なわけね
う〜ん、俺が思うに周囲によくないってゆーか、それって単にレイの独占欲と理性の問題なんじゃない？
他のヤローにルナマリアのスカートの中見られたくないってのと、あまり露出されると自分自身がもたないってだけでしょ
そうそう、理性がトんじゃうってやつ
レイって鋼鉄の理性の持ち主ってカンジするけど、さすがに好きな相手に無防備にされ過ぎるとタガだって外れるよなー
その点シンには鋼鉄の理性ってのがないからルナマリアのスカートがヒラヒラしてるといつもあたふたしてるよなー？
レイが鋼鉄だとすると、そーだな〜シンはプラスチックくらいの理性だよな〜…って、うわっ！？
何だよおい、叩くなよ！ジョーダンだって！




意見提供者�A　メイリン・ホーク

お姉ちゃんのスカート？
そうねぇ、動きやすいからミニを穿いてるって言ってたわよ
スカートの中が見えてるって注意したのに全然気にしてないんだもの
そうなの、ボーイッシュを通り越して男勝り入っちゃってて妹としては困っちゃうのよね
あ、でも前にレイが”脚が綺麗な人が好き”って言ったっていう噂あったでしょ？
やだ、あったわよ、シン知らないの？
レイってモテるから好みのタイプを知りたい女のコは多いのよね
で、ファンの子がしつこく聞いてみたらレイがそう言ったらしいって噂になったのよ
その時からスカート丈が短くなったってのはあったわね
それまでも短かったけど、今よりはもう少し長かったと思うわ
好きな人に少しでも良く思われたい、やっぱりお姉ちゃんでも思うみたいね
健気な乙女心ってやつよね
というわけで、この口論はそんな女心を理解してないレイが悪いわよ
断固私はおねえちゃんの味方よっ




当事者�@　ルナマリア・ホーク

スカートが短いって…そんなコトでいちいちケチつけるなんて信じらんないわよー！
隊長だからってフツーそんなことまで言う！？
保護者じゃないんだからさー
そもそもこのスカートの短さは単に動きやすいからだってのに、機能性のモンダイだってのに
な・の・に！レイったら私が内心男に見られるのを実は喜んでるんじゃないのかとか言うのよ！？
ヒドすぎだと思わない！！？
くぅーーーっ！アイツ何様のつもりなのよ！！
……え？レイのために穿いてるんじゃないかって？メイリン…が？
や、やだ！ぜんっぜん違うわよ！なにいってんのよ…！
別にレイが脚フェチだろうと何だろうと私にはそんなのどーだっていいことよ！
そうよ、あんな無神経男、私にはこれっぽっちもカンケーないんだから
てゆーか、何よアイツ、人の苦労も知らないでさっ！
軍服だからアレンジにも限界あるから色々考えてコレにしたってのに
なのに、なのに…それに文句言うなんて〜〜！
もーいい！脚フェチとかいう噂、真に受けたのがバカだったのよ
ウソじゃなくってもレイ・ザ・バレル様は私なんぞの脚じゃご満足なさらないみたいですしね〜
あー、腹立つ！
シンならこの腹立だしさわかってくれるでしょ！？
くっそー、うら若き乙女の生脚見たらちょっとくらい喜べってーの！




当事者その�A　レイ・ザ・バレル

ルナマリアの軍服については以前から少し気になってはいたんだがな
軍人が公的な立場の人間である以上それなりの配慮をするのは当然のことだろう？
それをルナマリアに指摘したら全く聞き入れないどころか逆にこちらに反論してくる始末だ
まったく、困ったやつだ…
……何？抑制が効かなくなるから？理性がとぶ？独占欲！？ヨーランが…？
な、何を馬鹿な…！
それだとまるで俺が公私混同の上、更に職権乱用してまでルナマリアの服装を正そうとしていることになるじゃないか！
第一それでは俺がルナマリアに好意を抱いているということが前提になるだろうに
え？違うのかって…？
い、いや、違うかどうかと尋ねられるとそれは違うと一言で言えるものではなく、もっと複雑なもので二者択一で答えられるようなそういったものでは…、そもそもルナマリアは仲間であるのだから大切な存在であることには変わりないのだがその大切という意味はだな―――…
は、説明が長引きそうだからもういい？
あ、あぁ、そうか…
ただ俺は隊長として自分の目の届く部分はきちんと管理しておきたい思っているだけだというのに
特にルナマリアは目を離すと何をするかわかったものでは…
何？そーゆーのを支配欲っていうんじゃないかって？
いや、その、だから…と、とにかく純粋に隊長としてだな―――…




結論
状況、証言などを含め総合的な判断を下したところ、この口論の原因はレイ・ザ・バレル、ルナマリア・ホーク両名がお互いを好きであること、そしてそれを素直に表現出来ないところに起因してると思われる




…ってオイ！
やってらんねー、何だよコレ！？
俺の知らないところで仲間二人が喧嘩してたっていうから心配して色々調べた結果がコレかよ！
てか周りの人間、完全に二人の気持ちわかってんじゃん！
筒抜けの周知の事実をわかってなかったのって当事者二人と俺だけじゃねーか！
あーあ、心配して損したっ！マジで骨折り損だっての！
両想い！？なんだソレ！

……くっそ〜、絶対教えてやらない
両想いだってこと二人に絶対教えてなんてやるもんか
特にレイには死んでも言わねーもんな



はぁ、ムダに疲れた、とっとと寝よ寝よ









皆沢タカコ


novel
top